向野堅一記念館・市民講座のお知らせ(2)

第1回:10月18日(金)17時30分開場 18時~19時30分
    中国史上の楊貴妃井上靖楊貴妃伝』を中心に―
井上靖(1907-1991)『楊貴妃伝』は、『婦人公論』に連載されたもの(単行本は19
65)。淡々とした筆致の内に、楊貴妃を中心に、玄宗、高力士の内面に踏み込もうと
努力しています。唐代中期玄宗朝の盛時を現出した一人の美女に焦点を当てて、日本
とも関わりの深い中国の歴史、特に唐の歴史についてお話ししたいと考えています。

第2回:10月25日(金)17時30分開場 18時~19時30分
    中島敦山月記』の原型を探る―「人虎伝」の史的背景― 
中島敦(1909-1942)の「山月記」は、『文學界』1942年2月号に発表されました。
唐代の李景亮作「人虎伝」の翻案小説というべきもので、戦後、高校「国語」の教材
として高く評価されています。/実は登場人物の内、袁傪は実在の人物で、「山月記
の原型をなす「人虎伝」は、安史の乱後の状況を反映したものです。話しとしては、
やや難しめですが、「山月記」に関心のある方は、お出でください。

第3回:11月1日(金)17時30分開場 18時~19時30分
    ストーリー漫画に内在する「歴史」世界Ⅰ―水木しげる『悪魔君』・

    楳図かずお『アゲイン』・寺沢武一コブラ』・平野耕太ドリフターズ

    等の検討― 
 「クールジャパン」(かっこいい日本)の潮流の中で、「サブカル」「ポップカル」
の評価が進んでいます。残念ながら、映像メディアに疎く、付いて行けていません。
そこで漫画の世界に焦点を当てて、検討を加えた一端をお話しいたします。


 第4回:11月8日(金)17時30分開場 18時~19時30分
     直方の人達を守ろうとした女装の超能力少年チイの物語―夢野久作

     『犬神博士』に描かれた直方と玄洋社を中心に― 
 夢野久作(1889-1936)の『犬神博士』は、昭和6年(1931)から7年にかけて『福
岡日日新聞』に連載され、未完に終わった小説。人はどのようにすれば、神秘の力「ド
グラ・マグラ」を手に入れることができるのか。究極の児童虐待の中で、「ドグラ・
マグラ」を手に入れた少年の物語です。/本作品の一つの見所は、後半の直方を舞台
とする部分で、この部分を中心に取り上げて、虚実の狭間に浮かび上がる史像を検討
して見たいと考えています。